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5章:真美(愛) (1/2)

5章:真美(愛)


「ん・・・・。。」


喉が乾く。
飲みすぎた日は、具合悪さのせいか、早くに目が覚める。

普段はなかなか起きれないのに。

カーテンの隙間から、朝日が溢れる。

まだ5時だ。
梨香は無事に帰れたんだろうか。
健ちゃんがついてるから、大丈夫かな。

ふらふらとキッチンへ行き、蛇口を捻る。
軽くうがいをして、水を飲む。


あー飲みすぎた。


大樹はまだ深い眠りについてる。

大樹の店で、働き始めて四年弱。

そろそろ限界かなぁと最近思う。

家を出て、行くところが無く、出会い系で援交相手を探し泊まり歩く毎日。
公園で野宿ってのもあったなぁ。

漫画喫茶に入り浸り、また援交。

そんなアタシを見かねた昔からの親友が、大樹を紹介してくれた。
大樹はアタシ達の間で、騒がれていた先輩の一人。
めちゃくちゃ遊び人らしく、いつ見ても違う女と歩いてた。

アタシはその頃、変な色目を使ってくる母親の男にヤラれないように、いろんな所で時間を潰してた。

だから大樹との接点はほとんどなかった。


今思えば、アタシはラッキーだったかもしれない。
一緒に住み始めた頃、大樹はアタシに手を出さなかった。
それが不思議だった。
男はヤルのが当たり前と思ってたアタシは、初めてエッチした時、ドキドキした。

優しい愛撫
「愛してるよ」
と何度も呟く大樹の囁き。
全てが初めての経験で、アタシは泣いた。

アタシは泣いた事がほとんどなかった。
てか、泣けなかった。

大樹に会うまで、この世の全てが馬鹿馬鹿したかった。

世の中に絶望した時に、綺麗な灯りが見えた。
それは大樹。

当時、無収入で昼ご飯代として大樹にお金をもらってたのが、辛かった。

大樹が出世した時に思わず言ってしまった。

「大樹の店で働かせて。」

アタシは少しでも、大樹の役に立ちたかった。
ただ「居る」だけの女になりたくなかった。

ただ、大樹は悲しそうな顔をしたあと、笑って「わかった」と一言いった。

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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん

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