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4章:大樹の日常
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健次の店は、歩いて10位。
ウチにいた元スタッフで、俺も可愛がってたいいヤツだ。
たまに仕事帰りに寄る。
真美も愛里と仕事帰りによく寄ってる。
あの若さで店を持てたのは、お袋さんの保険金のおかげらしい。
「k,sbar」
扉を開ける。
やっぱいた。
「お疲れッス!」
コイツの笑顔には、嫌味がない。
遅れてカウンターに座ってる真美が振り向く。
俺の彼女であり、ウチのNo.1
因みに隣で寝てるのが、ウチのNo.2
真美が俺を見て、心から嬉しそうな顔をする。
これは自惚れではないと思う。
俺と真美は、同じ中学だ。
俺の二つ下だ。
昔から綺麗で、目立つ女だった。
本人は自覚が無いだろうけど。
その頃の真美は、綺麗だけど近寄りがたかった。
自分で言うのはなんだけど、女に苦労した事はない。
だけど、真美には近付けなかった。
緊張して話しかける事もなかなか出来なかったが、いつもなんとなく心の中にはアイツがいた。
そんな真美が、行く所に困ってるって話しを後輩の彼女から聞いた。
俺が20歳の頃だった。
俺は迷わず家に呼んだ。
その頃の俺は、風俗店員になったばかりの下っ端だった。
今の前田みたいな感じだ。
あの頃、近付けなかった真美が、俺の家にいる。
最初の一ヶ月は手を出せなかった。
触れるのが怖かった。
女はヤレればいいと思ってたこの俺が。
ただ居てくれてるだけで、幸せだった。
初めてアイツに触れた時、俺は震えた。我ながら情けない。
でも気が付くと、アイツも震えてた。
この時思った。
「コイツは俺の最後の女だ。」
と。クサい台詞だけど、本気で思った。
幸せな日々が続いた。真美のために仕事も一生懸命頑張った。
「店長になった!」
と真美に報告すると、以外な言葉が帰って来た。
「アタシを大樹の店で働かせて。」
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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