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8章:解放
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注射器を覚えた私は、覚せい剤を片時も離さなくなった。
家にもナナちゃんちにも帰らず、拓実絡みで知り合った仲間の家に居候し、毎日打ってもらっていた。
打つ、遊ぶ、打つ、遊ぶ…そして時々、家主とセックス。
1週間も経てば、立派なシャブ中の出来上がりだ。
私が唯一守っていた決まり事…それは、他人からただで薬を貰わないこと。
必ず自分のお金で買った分だけを使うこと。
それだけ。
お金がなくなればナナちゃんを誘って、キャバの体入で小遣いを稼いだ。
でもお酒は飲まなかった。
前の二の舞を踏まない為に。
…そしてそのお金でまた薬を買う。
和泉くんからは時々電話が来たけれど、「その内帰るから」と言って一方的に電話を切った。
どうにでもなればいい。
私も和泉くんも、未来も。
あてつけるような私の家出は続いた。
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