会社に戻ると、アカネは頭を抱えながら椅子にすわっていた。


アカネは、悦子が帰ってきたことに気付くと、


「悦子さん！またホストクラブ行ってたんですか！？しかも人の車で！」


と、イライラしたように言った。


『どこだっていいじゃない。それより、これ。あんたにおみやげよ。』


悦子はそう言うと、アカネの目の前に、小さな封筒を投げつけた。


「なんですか？これ。」


アカネは気になってすぐ中をみた。


封筒の中には、ﾘｮｳﾔの家族写真とﾘｮｳﾔの父の手帳が入っていた。


「悦子さん・・・これ・・・」


アカネは言葉にならなかった。

自分が調査に行き詰まって苦しんでいるときに、悦子は遊びに行っていると思って許せなかった。

でも、本当は、アカネのことを考えて調査の資料を探しに行ってくれていたのだった。


悦子は何も言わず、アカネのいる部屋から出ていった。


「よーし！やるぞ！せっかく悦子さんも手伝ってくれたんだし。」


アカネは気合いを入れて、もう一度パソコンに向かった。