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5章:孤独 (1/36)

5章:孤独

どのくらい、時間が立っただろう。


そろそろ明るくなって来てしまうかも知れない。



みみはガタガタと震えながら耳をすます。


どうしたらいいのだろう。

いやな想像ばかりしてしまう。





ガサッ……


すぐ近くで物音が聞こえた。

みみはパッと顔をあげ、固まった。


シャリ、シャリ、と足音が近づく。

みみは強く目を瞑り、下を向いた。


みみ: (たすけてっ…)


そんな事を言っても、きっと無駄だろう。



『おいっ!』


聞きなれない声が聞こえる。


『大丈夫かっ!?おいっ!!』


意外な一言に、みみは目を開けた。



その男は直ぐみみに駆け寄り、上着を脱いだ。


見慣れないスニーカー。

誰だろう。



男はみみの体に上着をかけ、慌てた様子でみみに話かける。


男: おいっ!大丈夫かっ!?

みみ: ……


みみはゆっくり男を見た。
誰だろう。知らない顔だ。


男: ったく…誰がこんなこと…!!


男は悔しそうに呟き、後ろを向いた。


みみ: やめてっ!誰にも言わないでッ!!


男が携帯を取りだし、何やら電話を掛けようとしていた。


男: 大丈夫だ!今、ハサミを持って来てやるから……

みみ: えっ……

男: あと服も……

みみ: ………

男: ただ、女の人に持ってきてもらうだけだから…安心しな!


男は携帯を耳にあて、優しく笑った。


ふいに涙がこぼれる。
情けない。


男は何やら電話で指示をし、携帯を閉じた。


男: 警察呼ぶか…?


心配そうな目でみみを見る。

みみは激しく首を振った。


男: 本当にいいんだな!?

みみ: ……はいっ


涙声で返事をするみみ。

男はパッと後ろを向き、静かに外に出た。


開いたドアからは、半分男の後ろ姿が見えている。

みみに気を使い、少し遠くで待ってくれているらしかった。



しばらくすると、車のドアが閉まる音が聞こえる。


女: ちょっと!どこっ!?


慌てた女の声が聞こえた。
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みみ ©著者:まお

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