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5章:孤独
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男: おいっ!!こっちだ!!
男が駆け出す。
みみはそれを心配な様子で見ていた。
女: 怖かったね、大丈夫…?
女は泣いていた。
涙を流しながら、みみの手足に食い込むロープを切る。
みみ: ありがとう……
女: いいのよ!!これ、着て…?
みみ: ………
女: 大丈夫、ちゃんと外で待ってるからね…
女は手の甲で涙を拭い、出て行った。
何やらヒソヒソと話し声が聞こえる。
みみはゆっくり立ち上がり、女が用意してくれた服を広げた。
きれいな色の、スウェットとパーカーだった。
その間には、ビニールに包まれた新しい下着も入っている。
みみの頬にはまた涙が伝う。
恥ずかしくて、虚しくてたまらなかった。
ゆっくりとトイレのドアを開ける。
女が優しい笑顔で肩を抱いた。
女: 大丈夫…?
みみ: はいっ……
女: 彼は帰ったから……お家まで送るわね?
みみ: ……はいっ
女: その前に、ちょっと一息つこうか?
女は車のドアを開けてくれた。
足が痛い。
ずっと不自然な体勢でいたからだ。
ゆっくりと後部座席に乗り込む。
女は暖かいコーヒーを用意してくれていた。
女: ねぇ…?
みみ: はいっ……
女: 警察に…行こう?
みみ: 駄目ッ!!
みみはうずくまる。
女は運転席から身を乗りだし、みみの頭を撫でた。
女: だめよっ…!あなたが苦しむ事になるわ!!
みみ: お願いッ…!言わないでっ…!!
女: そんな事……
みみ: あのっ……!彼氏なんですッ!!
みみはとっさに嘘をついた。
女: えっ…!?
みみは濡れた頬を女に向ける。
みみ: 彼氏がっ……ウッ……
女: 彼氏があんな事するのっ!?
女は声を荒げる。
みみは申し訳なくなった。
みみ: でも……もう大丈夫だから……
女: 大丈夫って……
みみ: 別れたの……それに、引っ越すんだって………
女: ………
みみ: だから……お姉さんっ、絶対誰にも言わないで…!!
女: ………
見上げると、女は悲しそうな目でじっと見つめていた。
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