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3章:吉井君
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3章:吉井君
みみ: やぁんっ!!
まただ。吉井は横から急にみみのノートを取り上げ、上に振り上げた。
みみ: かえしてぇっ!!
吉井: なにムキになって書いてんだよっ!
立ち上がりジャンプするようにノートを取ろうとするが、せの高い吉井の腕にはとうてい届きそうにない。
吉井: ホイッ!
軽々しく、まわりの取り巻きに投げてパスする。
バスケ部だからってそれは無い。
背の低いみみには無理だ。
みみ: かえしてっ!!
大きな声を出すみみ。
しかし周りは知らんぷりだ。
数少ないみみの友人も、いつもの事だ…と呆れ顔。
吉井はいつもそうだった。
いたずらのターゲットはいつもみみ。
からかったり、驚かせたり…
ぼけぼけしているみみが驚いたり怒ったりするのを見て、楽しんでいるようだ。
みみ: わあんっ!
みみは涙目で机につっ伏した。
吉井はぱらぱらとノートをめくり目を通し、丸めてみみの頭を軽く叩いた。
吉井: なんだ、こんなもん!泣くこたぁねぇじゃん!
ガバッと起きあがってノートを奪い取るみみ。潤んだ瞳と目があった。
吉井はパッと目を逸らす。
吉井: グーズ!!
面白がるようにいい放って、教室を出ていった。
友人: あんたらさぁっ、本当仲いいよねぇ…
いつも昼食を食べる、お気に入りの裏庭で友人と二人花壇に腰掛けていた。
みみ: …へっ?
友人: 吉井だよぉ!
みみ: 仲良くなんて、ないもんっ!
友人: そぉ?
みみ: あたし、吉井君きらいっ!意地悪ばっかりするからっ!
友人はクスッと笑う。
友人: みみのそうゆう所がさぁっ…
みみ: えっ…?
友人: なぁんでもないっ!…食べよっ
みみは何だかよく分からなかった。吉井には彼女だっている。
なぜ自分だけがいつも…と、苛立っていたくらいだ。
府が落ちないような気持ちのまま、パンにかじり付いた。
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