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1章:地獄の入口
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1章:地獄の入口
徐々にわかってくると思いますが、これからここに書かれる内容の大半は事実に基づいたものです。
※故人のプライバシーに配慮して、名前や地域など、内容の一部は創作していますのであらかじめご了承ください。
あれは、2017年の12月のことだった。
鉛色の空から降り注ぐ冷たい雨をかきわけながら、悪い胸騒ぎに煽られるように車のスピードを上げて自宅を目指していた。
わたしはジャーナリストという職業柄、常に全国を飛び回っていた。帰宅するのは4日ぶりだった。
キャリーバッグを車に残したまま、急いで
車から降りた。
“頼むから勘違いであってくれ”
無意識のうちに、祈るような気持ちで繰り返しつぶやいていた。
「ただいま!」
不安を打ち消すように、いつもの数倍の声で玄関のドアを開けた。
しかし、不安は的中した。ある異変に気づいたからだ。
それは、胃液が逆流しそうなくらいのひどい悪臭だった。
わたしは片手で口を押さえながら、急いで娘の部屋がある二階に上がった。
「麻里どうした?」
ドアを強くノックしながら娘の名前を呼んだ。
が、返事はなかった。
娘の部屋のドアノブは引きこもり状態になった時期の2016年ごろから鍵をかけられる物に交換されていた。
じつはこのとき、父親であるわたしは、一年近くも娘と顔を会わせていなかった。いや、正確に言うと会わせてくれなかった。
「開けるぞ!」
ダメもとでドアノブに手をかけた。
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自殺した娘のスマホに届いた異常なLINE ©著者:森野くま
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