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1章:地獄の入口 (1/40)

1章:地獄の入口

徐々にわかってくると思いますが、これからここに書かれる内容の大半は事実に基づいたものです。

※故人のプライバシーに配慮して、名前や地域など、内容の一部は創作していますのであらかじめご了承ください。





あれは、2017年の12月のことだった。

鉛色の空から降り注ぐ冷たい雨をかきわけながら、悪い胸騒ぎに煽られるように車のスピードを上げて自宅を目指していた。

わたしはジャーナリストという職業柄、常に全国を飛び回っていた。帰宅するのは4日ぶりだった。

キャリーバッグを車に残したまま、急いで
車から降りた。

“頼むから勘違いであってくれ”

無意識のうちに、祈るような気持ちで繰り返しつぶやいていた。


「ただいま!」


不安を打ち消すように、いつもの数倍の声で玄関のドアを開けた。


しかし、不安は的中した。ある異変に気づいたからだ。


それは、胃液が逆流しそうなくらいのひどい悪臭だった。



わたしは片手で口を押さえながら、急いで娘の部屋がある二階に上がった。


「麻里どうした?」



ドアを強くノックしながら娘の名前を呼んだ。


が、返事はなかった。


娘の部屋のドアノブは引きこもり状態になった時期の2016年ごろから鍵をかけられる物に交換されていた。


じつはこのとき、父親であるわたしは、一年近くも娘と顔を会わせていなかった。いや、正確に言うと会わせてくれなかった。



「開けるぞ!」


ダメもとでドアノブに手をかけた。

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自殺した娘のスマホに届いた異常なLINE ©著者:森野くま

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