青沼君が小野さんの手を掴み、彼女が力任せに引っ張られる様子を、仲間三人は階段の下から険しい表情で眺めていた。


白鳥「止めてよね！

なんであの娘を誘うのよ！」



水嶋「本当、青沼はお人好しとゆうか・・・。

ゆかりと仲悪いの分かってんのになぁ！」



古平「チッ！」


二人が愚痴り合い、古平君も舌打ちした。



それもそのはず、彼等は最悪の場合進学を犠牲にする覚悟で決めたこの逃避行に、さっきまで中野君と一緒に白鳥さんを泣かしていた小野さんが参加することは、状況がどうであれ、面白くないものだった。


大和「青沼！

小野を頼んだぞ！」



青沼「はい！

任せて下さい！」



小野「えっ・・・、

青沼君、

わ、私は・・・。」



青沼「いいから、いいから！」


懸念する彼女を強引に引っ張り、下で待つ仲間と合流した。



青沼「おまたせ！」



白鳥「おまたせじゃないよ！

早く行くよ！」


三人は青沼君に連れてこられた彼女を一瞬睨み、後は目も合わせようにして階段を駆け下りていった。