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3章:# 3
そんな少年は季節の移ろいを公園に吹き抜ける暖かな風で感じていた。
通学途中では、小川に流れる水の音が、心地よく少年の耳に入る。
その川のせせらぎは、少年の心を穏やかなものへと変えていく。
少年の心は、街を彩る自然の音色で、幾分か救われていたのかもしれない。
そこで彼は、飼い主に連れられた犬を見る。
もしくはリードにつながれていない猫を見る。
どちらが自分に近いのだろうかと考えながら、彼は今日も学校へゆく。
どのように考えても、そこは彼にとって楽しい場所ではない。
授業が分からない訳ではないから、席について先生の話を聞くのは苦にならない。
むしろ彼は学校の授業が好きである。
彼は知らないこと知る機会が貴重であることを知っている。
そのような時間を、彼は楽しんでいる。
そして既に知っていることを、あらためて聞き直すのも嫌いではない。
例えば知っていることを、知らぬふりをして聞き続ける。
そうすると、いつしか次の発見につながることがある。
それほど難しいことを少年は考えていない。
しかし学校を嫌いにならない理由は、口に出して説明できない感覚が、彼の中で静かにうごめいているからだと言える。
もしかすると、少年の中では、その感覚が綺麗に整い始めているのかもしれない。
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少年日和 ©著者:香澄怜良
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