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12章:start new
帰宅した聖哉はそっと寝室を開けると梨紗の寝顔を眺めた。何時もの光景に安堵する。
消える事の無い記憶。数年ぶりに見た美希の顔は清々しくやはり自分たちは別々の道を歩み間違いではなかったのだと確信した。
聖哉「 お嬢さん帰りましたよ。 」
小さく呟く聖哉の声はかき消され寝息をたてる梨紗のまぶたに優しくキスをするとシャワーを浴びた。
リビングのテーブルにはメモ紙があり聖哉はキッチンに向かうと鍋の蓋を開けた。
【 シチューあるよ。 私を置いていったから毒入れといたよ。 寝る。 】
大好きな龍星と野村の3人で飲みに行った事を拗ねているのだ。
聖哉は器に毒入りシチューをよそるとそれを食べながらテレビをつけた。
口煩い小娘が起きぬよう音量を低くするとくだらない番組しかやっておらず何と無く録画を確認してみる。
中身は全て彼女の趣味番組が詰め込まれ驚くほど容量が無くなっていた。
夢の国が製作したアニメ映画やホラー番組、梨紗の好きなお笑いやまたホラー番組...
その中に興味深いタイトルをみつけた。
二週間前に放送された経営者のドキュメンタリーだ。
彼女が録画してくれたのだろう。
それを再生しながらシチューを食べ、一度見始めたら気になってしまい冷蔵庫からビールを取り出した。
今にして思えばこのビールもホラー番組も全て龍星の影響なのだ。
聖哉「 やば... 寝ないと... 」
席を立とうとするとテーブルにあった携帯電話が冷たいガラスを響かせた。
聖哉「 はい。 」
野村「 お取り込み中か? 静かだな。どっかのホテル? 」
聖哉「 何の事だ? 」
野村「 俺あの子しってる。あれだっけ?モデルの美希ちゃんだろ? 」
聖哉「 元だろ? しかも大昔だ。」
野村「 お前が浮気したら俺嫁さん奪うから。 」
聖哉「 残念ながら、元がつく人物に興味もありません。風俗の事バラすよ? 」
野村「 あれはヤバイ。まぢ可愛かったよ。 」
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