聖哉がアメリカへ飛び立ち一か月が過ぎた。
彼がいない悲しみは未だ消え去る事は無いが悲観する気持ちは無くなっていた。




彼は忙しい中でも時間をみつけ電話もくれた。
ルームシェア仲間は皆外人ばかりで仕事の話やプライベートな話で毎晩盛り上がっていると写真を送ってくれた。





梨沙はマンションに暮らしながら野村に渡された仕事をし聖哉の連絡を楽しみに毎日を過ごしている。




そして野村は、恐らく聖哉に頼まれたのだろう。梨沙に書類を渡すのを口実に週に一度は外に呼び出しファミリーレストランで食事をしながら梨沙の知らない彼の昔話をしてくれるのだ。



家に引きこもる事をわかっていたのだろう。初めは抵抗していたものの、梨沙はすっかり野村と打ち解け良い友達関係になっていた。




毎日一人ベットに入ると彼を想う。笑っている顔や意地悪な目付き、夢に出てきた日にはまるで側にいるかの様な感覚になる。
会いたい。 その気持ちは日に日に増していった。