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2章:コミュニケーション (1/13)

2章:コミュニケーション

20時。

アポが取れてる夜間の訪問先なんかほぼ皆無な俺は、外回りを程々にして帰社し、鈴木 学さんの所へ持って行く資料を大急ぎで準備していた。

この時間帯、いつも同じ様に帰社して明日の為の資料作りに、バタバタしている同僚や業務課の人間がそれぞれ様々な書類をプリントしているので、コピー機の周りは常に混雑している。

だから自分の資料準備がトントン拍子に行かず、四苦八苦。

モタモタしてる内に課長同行の約束の時間が無情に迫って来た。

『田中、出られるか』

『はっ…はいっ…!
ちょ、ちょっと待って下さい!?』

『急げ。あまり遅くなると相手先にも迷惑だ』

『はいっ…』



業務課の出力した、分厚い書類の中に紛れた自分のコピーした資料を超特急で抜き取り、デスクに散らかしたプリントをガサガサと纏め、鞄に詰め込む。

『すみません、行きましょう』

『課長、よろしく』

『はい。行ってきます』

『行ってきます!』

『行ってらっしゃい!』

支店長に挨拶して、支店から出ると皆で元気に送り出される。

車を出し、鈴木さんの家に着くまで助手席の課長と気まずい空気をやり過ごさなきゃならない。



『近いのか』

『10分15分ぐらいですかね』

『………』

『………』







『資料は、ちゃんと揃ってるな?』

『は、はい…』

『プラン』

『あります』

『概算』

『出しました』

『………』

『………』

『…何事も事前準備が大事だ。
事前準備。な?』

『はい…』





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肉便器 ©著者:ベグビー

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