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7章:土曜日
『寝てる?』
日付が変わって、午前2時前彼からのライン。
仕事中に彼が連絡をして来るのは珍しい。
よっぽど店が暇なのかな?
飲みに来てって言われるかな?
警戒しながら返信する。
『起きてる』
『珍しいね。何してんの?』
『眠れなくて』
精一杯の弱音だった。
『テレビでも見てやりすごしな』
・・・・・・なに?
なんの連絡だったの?
もう返信する気は起きなかった。
ミルキーを1つ口に入れた。
本格的に眠れなくなったわたしはリビングのソファーに座ってテレビをつけた。
でもやりすごせるような番組は何もやってなくて、わたしはどうしていいのかわからなくて途方にくれてしまった。
気付けばいろんなことが彼中心で、彼次第で、本当の自分なんてものはとっくに見失っていた。
彼の家ではこらえられる涙が、家ではこられられない。
ミルキーをもう1つ口にいれる。
でもいくら考えたってわたしは幸せなはずで、泣く理由なんてどこにも見当たらないんだ。
この言い様のない感情はなんと呼べばいいのだろう。
漠然とした不安を裏付ける決定的な事実は何もなくて、不安になる必要がないことは頭ではわかっている。
それでも押さえきれないこの感情、満たされない理由をどう説明すればいいのだろう。
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