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5章:4
無事新居に着いたのは
日の暮れる少し前で
辺りは綺麗なオレンジ色に包まれていた。
駅から新居迄は
小太りの不動産屋が迎えに来てくれて
またとりとめのない世間話を
聞きながらの道中となった。
やれ近くに住んでいる婆さんは
ちょっとボケているだの
家の側にある沼は
底なし沼だと昔から話されていて
気を付けなきゃいけないだのと
よく話す人だなと思った。
それでも前回よりも
その世間話は
幾分楽しいエピソードに聞こえて
優の興味を少しばかりそそっていた。
中でも夏の夜には
家の前の小川に
沢山の蛍が舞うと言う話は
夏が来るのを待ち遠しくさせた。
無事新居に着くと
小太りの不動産屋が
リフォームした箇所や
その出来映えを
誇らしげに話していた。
優は丁寧にお礼を伝え
親切に
『困った事があったら何でも相談してくださいね!』と言いながら帰って行った
不動産屋の車を見送り
ほっと一息ついた。
『荷物類は明日届くっと。』
そんな独り言を呟いた時
ふと気がつくと
辺りは既に夜の帳に包まれていた。
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飛行機雲 ©著者:ましろ
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