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9章:餌 (1/19)

9章:餌

「はぁ…はぁ…よぉしときこ。ちょっと待ってろ」

おじさんはときこちゃんにそう言いつけ、地下室へ下りてった。

ときこちゃんは、ちょっとだけ汗をかいてはぁはぁ言いながら戸惑ってるみたい…。

今の内に玄関に行ってドアの鍵を開けられれば逃げられるかも…。

でも…もし鍵が締まってて開けられなかったり、勝手に動き回ってる所を見られたりしたら…逃げようとしたことがバレて絶対に殺される…。

それに…首輪だけではだかんぼのままお外に出るのは恥ずかし過ぎる…。

そんな事を考えてる風に見える…。

チラリと足元を見ると…ゆいちゃんの生首。

逃げ損ねたらすぐにときこちゃんはお風呂場でバラバラにされて…あの冷蔵庫の中に…。

そんな事を想像するだけで、心臓がバクバクして…足が震える…。

つけっぱなしのテレビをただ見つめながら、ときこちゃんは何も出来ないで居た…。

そういえば…この子がときこちゃんなら、私は一体誰なの…?

私もときこなのに…どうして私が二人も居るの…?

このときこちゃんは私が見えてないの…?

「…ねぇ」

「………」

試しに呼びかけてみても、ときこちゃんは返事をしない…。

そこでおじさんが地下室から何かを持って戻って来た。

逃げるチャンスを…逃しちゃったのかな…。

良い子にしてても…どんなに良い子で居るように頑張っても…いつか殺されちゃうのかな…。
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刻子 ©著者:池沼

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