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8章:カラオケボックス
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8章:カラオケボックス
『…ちょっと〜弓姉さん今日って言うか、最近元気なくないですかあ?』
バレンタイン直後のプラチナ…店内にはまだ甘ったるいチョコレートの残り香が漂っている様な気のする夜の事だった
お客さんにプレゼントされたらしいプーさんの黄色いネクタイは童顔の薫君に良く似合っていた
『…え?…そ、そうかな?そんな事無いよ!』
薫君にそう言われた私は動揺を誤魔化す様に水割りを口に運んだ
『……弓姉…ひょっとしてやっぱり令子さんの事気にしてるんでしょ?』
『……あっ…うん…バレバレだよね…ごめんね、なんか…暗くて』
最近の私の落ち着かない様子は比較的鈍感タイプ?の薫君から見てもはっきりしたものだったらしい
令子さんは相変わらず週1ペースで店に来ては派手にトワに使っていたらしかった
勿論トワの私に対する態度が変わったなどと言う事はまず無い
ただ…それまでの連絡頻度が10だとしたらそれが9に減っただけ
それだけなのだ
あれ以来令子さんとは直接会ってはいない
しかし…私はどうしてもあの時あの瞬間に彼女が私に向けたあの冷たい視線が忘れられずにいた
自分の中で封印していた嫉妬心が徐々に膨らんで行くのが分かった
考えてみればおかしな話だ
嫉妬するのが嫌なら始めからホストクラブ何て行くな…とあの頃の自分に突っ込みたい
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