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8章:カラオケボックス
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トワはよっぽど痛いキャラクターのお客さん以外はまず自分の他のお客さんの話を私にはして来なかった
どう言うカラクリになっていたのかは知らないが…人気者にも関わらず…私が自分の他のお客さんと極力接しない様に配慮するのが上手かった
勿論その頃令子さんの事など禁句中の禁句だった
私が再びぼーっと物思いにふけっていると薫君がクスッと笑った
『…弓姉?全然心配する事無いですよ…誰がどう見たってトワさんは弓さんの事を1番大切にしてますよ…僕がホスト生命をかけて保証します!』
『…ありがとう薫君』
気を使ってくれているのはわかったが嬉しかった
『弓さん?僕等ホストが1番もらえて嬉しい物ってなんだかわかりますか?』
『…え、何だろう…お金?』
『…まぁ、…それもそうだけど…って真面目な話してるのに〜!…えっと、つまりそのお金以外で!なんだかわかりますか?』
『え、わからない…何?』
薫君は次にキリッと背筋を伸ばして私の目を見ながら口にした
『信用です!』
『…信用?』
『そうです信用!僕等は普段ホストってだけでまずどこ行ったって信用されないんですよ…そりゃまあ…実際仕事が仕事なだけに…仕方ないって言えば仕方ないですけど…でもね、そんな信用に飢えた生活の中で、はっきり自分だけを信じてついてきてくれる女の子ってやっぱりめちゃめちゃ可愛いんですよね』
『…信用か……』
『そうですよ!だから弓さんもトワさんを好きならもっと信用してあげてほしいんです…トワさんの事!…そうすれば絶対に大丈夫ですから!自分の担当を信用してあげないで一体誰を信用しろって言うんですか?!』
『…………』
『それに…令子さんの事気にしてるんならそんな必要無いですよ…令子さんはトワさんの事ルックスでしか見てないですから…完全にアクセサリー感覚…トワさんもそれ理解した上で今だけ付き合ってあげてるだけですよ…弓さんとトワさんの絆には到底及びませんよ』
そう言い終わると薫君は満足気にニコッと笑った
…本当に先輩思いの優しい子だ
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狂ってた… 前半 ©著者:弓
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