中世のヨーロッパでは、

《夢魔》

というものが存在するとされた。

淫魔ともいう。

女の夢魔をサキュバスといい、男の夢魔をインキュバスだと言われた。

これらの夢魔は、夜な夜な若い娘や童貞の部屋に忍び込み、娘を犯したり、童貞を射精させたりするとされる。

勿論、何者かに犯されて孕まされた娘や、夢精やオナニーの跡始末をしなかった童貞の言い訳に使われた、想像上の“魔”であった。

夢魔は、キリスト教圏では、よく知られ、ルーマニアなどの教育の行き届いていない、かつ、美しい娘の多い国々の農村部では、未だに妊娠してしまった未婚の娘の言い訳に使われている。

また、旧約聖書にもその存在が記されている夢魔は、カソリック教の全寮制私学や看護学校では、まことしやかにその存在を教えられる。