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306章:女の子なのにィ、女医さんじゃァ………??
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306章:女の子なのにィ、女医さんじゃァ………??
真由の、
《相談と血液検査》
だけを聞いた綾子は、力が抜けるようだった。
「でもォ、お医者さんゥ、って言ったってェ、男の人にィ…………お生理とかァ、オリモノとかァ………話しなきゃァ……いけない訳ェェェ??」
緩んだ腿を再び閉じてしまう。
「じゃァ、女医さんゥ、担当してもらえばいいじゃなァい??」
綾子は複雑な気分になった。
歯科医であった父が、ことあるごとに
《だから女医なんて駄目なんだ》
と吐き捨てていたのを思い出す。
「………女医さんゥ、いいけどォ………ちょっとォォォ??」
頑固であった父の考えを無意識に受け継いでしまっていた。
「なァにィィィ??女医さんじゃァ、信用ゥ、出来ない訳ェ………綾子ォ、女の子なのにィ??」
今度は真由が不思議そうである。
(男の人に女の子の躰のことォ、話すのォ、ヤだけどォ………)
若い経験不足の女医などに、無責任な診断されることはもっと嫌だった。
父が女医嫌いであったのも、
《女医は無責任、いじくっておいて、手に負えなくなると、大病院(おおきなところ)に押し付ける!!
もっとも、今の若い男の医者も同じだが………!!》
に尽きる。
(あんなァ、青筋立てちゃってたものォ………)
怒りっぽく変り者で、大学とのパイプも人脈も持たなかった父は、綾子が12歳のとき、卒中で亡くなっていた。
「ヤだけどォ、やっぱ、男の先生に相談するゥ…………」
決めてしまう。
「ッ!!そっかァ…………おじさん、女医嫌いだったわねェェェ??」
真由は近所に住んでいることもあり、幼い頃から綾子と遊び、しばしば、父とも接していた。
…………………………
(やっぱ緊張しちゃうゥゥゥッ!!)
《〇〇レディースクリニック》
の個室で、綾子は腰掛けた固く腿を閉じている。
(個室ゥ、いいけどォ………)
他人の目に曝されないのはいいが、男の医師と二人きりになる不安があった。
「今日は、〇〇綾子さん、16歳で、オリモノが気になるんだねェ!」
突然、入って来た年配の医師に明るく言われてしまう。
「…………今日はァ………まあァ、そうなんですけどォ………」
口ごもったが、男と言っても年配だけに安心感があった。
「月経は順調ですか?」
初対面の人には、職業・老若男女を問わず、まず、発達の素晴らしい乳房を見られてしまう。
(お医者さんでもォ??………そんな目立っちゃうゥ??)
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