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13章:古い傷
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気が済むまで泣き続けた及川くんは、泣き止むと私に言った。
「俺のために薬やめてよ」
薬をやめる…
自分の意思でやめられなかった覚せい剤。
今なら、誰かのためならやめられるかも…そう思った。
「わかった、やめるよ」
私はそう答えた。
そして持っていた注射器とまだ使いかけのシャブの入ったパケを及川くんに渡した。
抜け時のツラさとは一人で闘いたかった。
あんな姿誰にも見せたくはない。
「ひどい状態になるから、しばらくここには来ない方が良いよ」
と言ったが、及川くんは聞き入れてくれなかった。
「仕事が終わったら今まで通りここに帰ってくる」と言ってきかなかった。
シャブ中の「ひとりで頑張るから」なんて言葉…及川くんはたぶん信じてなかったんだろう。
私は及川くんがやりたいようにさせる事にした。
その日からシャブと私の闘いが始まった。
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