転校してから習い事はなくなったため、週一回のお爺ちゃんが道場に行く日はそこへ行った。

道着は親に買ってもらえず、最初はジャージだったが、お爺ちゃんが突然、

『こんなに頑張ってる秀明を見て、買ってあげないジジイなどおらんよ。』

他の生徒が道着の中、ジャージで一人練習に参加していた。

お爺ちゃんに手渡され、道着に初めて袖を通した。

初めて道着を着た瞬間、お爺ちゃんの心が秀明の心とシンクロしたと、不思議に感じていた。

弱いものを助けたい。

空手に精通する全ての精神力を極め、日々の暮らしに応用すればいい。

練習後に行う黙祷の中で心に決めた。