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9章:浮世世界 (29/29)




「ゴメン…、友達の事そういう風に言われたら良い気しないよね。

でも、澪ちゃんに嘘つくのもアレだし、この際ゆうひちゃんは愛逶と別れた方がいいと思うし。」


少しバツが悪そうに微笑むカイリくん。


「あなたはいい人なのか、そうじゃないのか、よく分からないね。笑」

「そうだね。でも敵じゃないのは伝わってる?」


通りすがるキャストの女の子が、ミーハーな視線をこちらに向けていく。


「……うん。もしかして、あたしもう騙されてる?」

「危ないな、もう俺にハマってるかも。」


カイリくんの隣は居心地がいい。
きっとそれは、そんな空気を作ってくれている彼のおかげなんだろうけど。


「そうだ、ダイヤくんに水族館で会った先輩の事聞いてみた?」

「…あ、忘れてた。綾哉、熱でずっと寝込んでて。」

「そうなの?マジか、そんなときに呼び出して悪かったね。

まぁ、どんな理由にせよ、ホストクラブに自分の女をひとりで行かせたくはないか。

近々、テイラーにもお詫びを兼ねて顔出すよ。」






____実はカイリくんとは、これから長い付き合いになる。


あたしが今こうやっていれるのは、カイリくんのおかげだ。


映画のプリティーウーマンとは違う結末だけど、確かに彼のおかげであたしは救われた。


あとにも先にも、此の街で信用できたのは、彼ひとりだった。


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Addiction ©著者:結月 杏奈

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