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2章:モラトリアム (2/37)




「なぁ、澪。綾哉って呼べよ。」


非常階段の数段下に片膝を立てて座った桐谷が、こっちを見上げて言ったのは、二学期が始まってすぐの事。


「なんで?いいじゃん桐谷で。だって桐谷でしょ?」


夏休み、なんだかんだ高野は忙しくて、あたしは桐谷と貢くんと暇を潰す事が少なくなかった。


「けっこう気に入ってんだよね、自分の名前。だから気に入ってる奴には名前で呼んでほしいわけ。」


自分の名前か。考えた事もなかった。


「気が向いたらね。」


ふと、あの3年の女子はなんて呼んでいるんだろうと思った。


いゃ、別に気になったわけじゃない。ふと思っただけ。


「そういえばさ、なんで高野は高野なの?」


煙草をくわえ、桐谷はポケットをまさぐる。


「だって学校で呼び間違いそうだもん。」


ライターが見つからない桐谷の頭に、高野が忘れていったライターを投げた。


「痛て。おまえってなんつーか、逆にデリカシーないな。」

「ん?なに?」


火を点けた桐谷はサンキュとライターを投げ返す。


「いや。なんてゆーの?高野の名前。」

「……圭太。」


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Addiction ©著者:結月 杏奈

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