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6章:# 6
もう既に辺りは暗いが、少年の後ろを流れる川には鴨の親子の存在を感じる。
それまでの風景を眺めているかのような親子が、小川に浮かんでこちらを見つめている。
少年はパンの残りを手に持ちながら、鴨の親子に視線を移す。
まるで親鴨が少年の優しさを見届けるように浮かんでいる。
残りのパンを千切りながら、少年は鴨に向けて投げ入れる。
それを追う子鴨を、親鴨は優しく見守っている。
すべてを出し尽した少年は、少しだけ首をかしげて親鴨を見つめる。
少年の胸のうちを受けとめたかのように、親鴨は軽く首を振り、緩やかな流れを昇って行く。
子鴨は親鴨を追いながら上流に向けて泳いで行く。
七羽いる子鴨のうち、二羽が羽根をバタつかせる。
そこではピシャピシャと水しぶきが立つ。
親鴨の群れからその二羽が引き離されようとしている。
その姿を少年は気になり、二羽の子鴨を見つめている。
親鴨もそれに気づき、泳ぎを止めて子鴨を見る。
それに気づいたのか、子鴨は羽根を休めて、親鴨の方へ急いで向かう。
何事もなかったかのように、鴨の親子は上流へ泳いで行く。
鴨の親子を見つめながら、少年は静かな感慨にふける。
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