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5章:# 5 (1/2)

5章:# 5

その日の授業を終えて、少年は真っ直ぐ帰宅した。

ミルクを入れるプレートを手にして、猫と出会った場所へ急いだ。

当然のようだが、すぐには猫を見つけられない。

とりあえず少年は公園を歩きながら猫を探した。

なかなか猫が見つからず、少年は寄り道をした。

そこで小川のせせらぎが耳に入る。

そうすると自然と小川へ足が向かう。

静かに流れる川の水は透き通っている。

その川の底が綺麗に映る。

この季節の水は、まだ冷たい。

少年が川に沿って歩いていると、少し先に鳥の群れが目に入った。

その群れは鴨の親子だった。

親鴨が七羽の子鴨を連れて泳いでいた。

それを微笑ましく眺めていたら、少しだけ愛しさが込み上げてくる。

手にしたパンを鴨の親子に渡しても良いような気がする。

猫が見当たらないのだから、それも良いと思えた。

少年は考えを少し変えて、ちぎったパンを鴨の群れに向けて投げた。

それは鴨の群れの少し手前に落ちた。

まずは親鴨が近づき、口ばしでつっつく。

親鴨を追い掛けて子鴨も近づく。

パンを投げ入れるごとに、少年は笑みを浮かべる。

そこでは親鴨が、口うつしをするかのように子鴨へ渡す。

少年は鴨の親子が寄って来るのを目にしながら、少し先の丘に猫がいるのを見つけた。

少年は喜び、猫に近づいた。

その時、猫はおびえて、少し離れた。

それに気づいた少年は、カバンからプレートを出してミルクを入れた。



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少年日和 ©著者:香澄怜良

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