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10章:‡南の島の風‡
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開店から、5日が過ぎた。
今日は、大地がお休みとなる。
大地は、休まなくていい、なんて言ってるが、そう言うワケにもいかない。
蓮が今朝、早めに切り上げて帰って来る、と言った。
4人を仕事に送り出して、家事を済ませる。
この前、頼んでない出前を持って来た金子食堂は、相変わらず、毎日出前のご用訊きに来る。
通りを挟んだ斜め向かいなので、どうにもならない。
それで、掃除を済ませたら、必ず玄関の鍵を掛ける事にした。
でも、何も家だけと言う事ではなく、あちこちに行ってるらしい。
この辺の人達は、もう慣れっこで、適当にあしらってるようだ。
家に来るのは、何時も決まって、家事が終わった時。
凪と琉斗と3人で、珈琲を飲み始めると、来る。
そして、今日もまた、インターフォンが鳴った。
『また、来たのか?』
と凪が言った。
インターフォンに一番近い所に座ってた、私が立ち上がった。
モニターを見る。
笹寿司の大将が居た。
『笹寿司さんの大将』
と凪に言うと
『珍しいな』
と言って、凪が立ち上がった。
ミルフィーも勿論玄関に行く。
〔おはようございます〕
〔おはよう!
急に来ちゃって、ごめんよ〕
〔あ、いえ。
どうぞ、お上がり下さい〕
と凪が促す。
此処は玄関が狭いので、玄関で立ち話と言う事も出来ない。
〔じゃ、ちょっと失礼するよ。
随分珍しい猫だな?〕
〔{んにゃ}〕
〔お?返事をするのか?〕
〔{………}〕
『さ、どうぞ』
大将がリビングに来た。
《おはようございます》
と琉斗と私で言うと
『あ、こちらが金子さんの言ってた、アメリカの……』
と大将が訊いた。
あの女将は、凪のあの滅茶苦茶な話しを、何の理解も出来てなかったが、取り敢えず、琉斗がアメリカの一流ホテルに居たと言う事だけは理解し、あちこちに言い振らしてた。
『金城ライアン琉斗です』
と琉斗が名乗る。
『ん?金城さん?
アメリカの方じゃないの?』
『あれは全部作り話なんですよ』
と凪が言った。
『僕、殆どアメリカ人ですけど、クォーターで、少し日本人なんです。
沖縄の石垣島に居ました』
『そうだったのか!
金子さんが、アメリカの一流ホテルに居た、凄い人が居るみたいだって言ってたから』
『確かに、ホテルには居たんですけど』
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