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5章:†翔の引っ越し†
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北城台の家。
窓をあちこち開けて、とにかく換気。
4日放置してた。
今日からまた、レッスンが始まる。
が、煌璃の開店が日曜日からなので、開店後二週間は、レッスンを預ける事にしていた。
去年、翔が亡くなった時に、代わりにやってくれていた、上村京香。
そして、同じく、後輩の田崎駿。
京香は、相変わらず、親戚がやってる託児所を手伝っていた。
最近、景気が良くなったのをいい事に、自分達の楽しみの為に、子供を預ける若い母親が増えた、と言った。
そのせいか、託児所も繁盛してるのだとか。
何となく寂しい、と彼女は言う。
最近、京香は、その託児所の一角で、週に一度だけ、エレクトーンを教え始めた。
でも、今はそれを本業にするつもりは無いらしい。
田崎駿。
私が通った音大の後輩。
今年3年生。
やはり彼も、去年は随分助けてくれた。
ドイツに留学したいだの、イタリアに行きたいだのと言ってたが、結局諦めて、教師になる道を選んだ。
同じ北城台の住人。
彼が居なかったら、教室の存続は無理だった。
その時に、これ迄ピアノもエレクトーンも、同じ日にレッスンしていた状態から、ピアノの日とエレクトーンの日を分けた。
水曜日〜金曜日迄がピアノ。
土曜日〜月曜日迄がエレクトーン。
エレクトーンは、大人の生徒も居るので、普段の日に通う事が難しく、土曜日や日曜日を当てる事が必須だった。
火曜日がお休み。
2人に打診したら、直ぐにOKしてくれた。
この2人、生徒からの評判もいい。
京香は、一昨年の発表会で、翔と一緒にステージに立った。
(Skyline・55章)
その事も有り、お葬式にも、翔のパーティーにも来てくれていた。
駿は、私達がジムカーナの大会に行った時に、その会場で知り合った。
独りで居た駿に、翔が話し掛けて、一緒にピクニックをした。
(Skyline・50章)
偶然にも、同じ北城台の住人で、しかも私の後輩と知った時には、本当に驚いた。
同じピアノ専攻。
やはり発表会のステージに上がり、復学の声楽を生かし、カンツォーネを披露してくれた。
この2人になら、安心して頼める。
実家の鍵は、お隣の小母さんに預かって貰う事にした。
もう、長い付き合い。
母とは、良い茶飲み友達。
今でも、電話でお喋りしてるようだ。
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