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16章:family
聖哉「 あー疲れた。 」
玄関口に荷物を置くと、バックの中で小さく固まっている子猫をとりあえず取り出した。
連れて来たのはいいが動物など飼った事もない。
とりあえずダンボールにタオルを入れ、リビングで眺める。
フカフカのバスタオルの匂いを嗅ぎながら座りじっと聖哉を見つめる猫。
聖哉「 で... どうする?」
猫「 ... 」
聖哉は携帯を取り出し検索をした。
様々な情報に嫌気がさし、とりあえず野良猫の為、室内は汚されたくない。
人間用のシャンプーしかない為風呂にも入れられず、ため息をついた。
聖哉「 失敗した。 連れて来なきゃ良かった。 」
猫「 ...。 」
聖哉は鍵を手にし、近くのドラッグストアに向かうと猫用のシャンプーとペットシートを購入した。
聖哉「 何回往復してんだ俺... 」
部屋に帰るとダンボールに居たはずの猫がいない。
聖哉「 まぢかよ! 猫! 」
するとキッチンの隅にいた毛黙りに驚く。 すぐに捕まえるとバスルームに向かった。
聖哉「 あの箱から出れんのか。すげーなお前。 」
何とか小さな体の子猫を洗い、ネット情報のような暴れる行為などはあまりなく、鳴き声もあげない。
情けない姿で洗われる姿に聖哉は笑っていた。
しかし悲劇はそこからだった。
先程まで大人しかった猫はドライヤーを極度に嫌がり、洗面所を駆けずり回るのだ。
チビのくせにすばしっこく捕まえるのに一苦労し、漸く乾かし終えるとペットシートを敷いたダンボールに入れ水の入った皿を中に入れた。
するとウサギのようなジャンプをした子猫はあたりをくんくんと嗅ぎ廻りリビングを徘徊していた...
聖哉「 もういいや... 」
あくびをかいた聖哉は寝室に向かうと眠っている梨紗に寄り添い目を閉じた...
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