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5章:代償 (42/42)

「役場もここから車でだいぶと掛かる。あんたが一人増えても誰にも知られんよ。住民票登録は、赤ちゃんができてから考えればええや」

「うちは代々、ここでひっそりと暮らしてるからな。周りの家もぜ〜んぶ親戚だから、一人でどこへも行けないよ」

「既婚だったんだって? それなのに、こうやってここへ来た。もう東京へは帰れないよなぁ。分かってっか?」

「息子も何回も何回も東京へ行っては嫁を捜してたんだけどな、やっと上手いこと連れて来た。よくやったべ」


男は那美を後ろから抱きしめ、髪に頬を寄せた。


「じぃちゃん、そうだろ。かぁちゃん、やっとなぁ、仕掛けに掛かったよ。漁と一緒だな。“網を仕掛けてじっと待つ”。魚みたく、前しか見られない、真っ直ぐにしか進めない獲物を選んでなぁ。ふふふ。タイミングがなぁ、大事ってことだ。絶対、逃さねぇよ」



…………那美は震えていた。



しかし、それは寒さからなのか、恐れからなのか……彼女自身、分からなかったのだ。



地吹雪が古ぼけた玄関を、どうっどうっと叩いていた。




【代償……終】



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東京ショートストーリー ©著者:七斗

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