ホスト,キャバ,風俗等のちょっと大人の無料ケータイ小説!PC,スマホ、ガラケー全対応!

5章:代償 (41/42)

そう、札幌はちょうど雪まつりの頃。車のフロントガラスには吹雪が貼り付き、ワイパーもだるそうに、ぐわぐわと悲鳴を挙げる。けれど男は涼しい顔でアクセルをふかした。


「夏が来ると真っ青な青空と海が一つになるんだ」


車から降りた男は、那美の肩を抱きしめる。


けれどもそこに在るのはーーーー。


凍る窓、凍る川、凍る海、凍る心。


一面の雪景色に埋もれそうに建つ平屋の家屋に案内される。家の横には古ぼけた小さな小屋。


「うちはじぃちゃんの代から近海で漁をしていてな。俺が毎朝漁に出るから、那美はそら、そこの小屋で魚を捌いてくれ。切り身や開きにしてから出荷するんだ」


(こんなはずじゃなかったんだ……違う! 違うよ!)


呆然と立ち尽くす彼女を男は嬉しそうに家に引き込み、年老いた祖父母と両親に紹介した。遠慮もなくじろじろと品定めしてから、それぞれのひとが呟いた。


「初婚じゃねぇのか。まぁ、しょうがない。こんなとこに嫁に来てくれる女は居ないからな」

「子どもを置いてくるなんぞ、大した女だ。せいぜい働いてもらうし、新しく産んでもらわんとな」


137 /190

※この小説を友だちに教える⇒メール

いいね LINEで送る

東京ショートストーリー ©著者:七斗

夜のケータイ小説サイト「ホスラブ小説」
PC,スマホ、ガラケーで全ての機能が利用できます!

Copyright © hostlove.com All Rights Reserved.