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4章:コオロギ
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LINEの通知音が「ポンッ」と鳴った。
【陽菜(ひな)……ごめんな……】
【一眞(かずま)……しつこいよ】
【分かってる。だけどやり直したい】
【無理】
【今度こそ、夢を叶えるために頑張るから】
【それ、100回くらい聞いたよ】
【今度こそ本当なんだ。今回は良い職場なんだよ】
【……前にLINEしてきたの、二ヶ月前だよ。茨城からね。また派遣の住込仕事を変えたの? 今はどこにいるの?】
【……長野】
【え。長野? 茨城ではサッシ工場だったけど今回は何の仕事なの】
【大型トラックのさ、ドアを作ってるんだよ。ほら、俺の夢はトレーラー乗りになることでしょう。自前のトレーラーを持って稼いで陽菜と結婚する】
【そう言えば……住んでた足立区のアパートに、トレーラーのおもちゃを後生大事に飾ってたっけね】
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東京ショートストーリー ©著者:七斗
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