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4章:コオロギ
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【おもちゃ……言うな。夢を忘れない、いや、必ず実現させる為に大き目の模型を買ったんだから】
【一眞……知り合った頃は楽しかったよね。もう六年になるか……あたし達、北千住駅前のカフェで知り合ったんだったね……あなたもあたしも仕事帰りに寄ってて……】
【うん。初めて会った日のこと、覚えてるか? ほら、店のスタッフが俺と陽菜のオーダーを間違えてな……それはあっちで、これがこっちでって……その時俺、お前に一目惚れだったんだ】
【それも100回くらい聞いた。あたしだって……あの頃は良かった。あなたは大型と牽引の免許を取ったばかりで、さぁ、これからって時】
【そう。それまでは運送会社で4tに乗っててな……トレーラーとは給料が違う……だから俺は……】
【あたしとあなたの小さなアパートを行き来して、一年くらい経った時……そして同棲しようかって時だったね】
【ああ、せっかく牽引免許を取ったのに、なかなかトレーラーに乗せてもらえなくてな。ちっせえ会社だったから、先輩たちが降りない限り、俺にお鉢が回って来ない……でも、社長はもう一台購入するからと……それなのに……】
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東京ショートストーリー ©著者:七斗
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