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3章:赤信号 (32/32)

『彼らはね、“記憶”という穏やかな居場所でね。いつでも君の側で、君の心を通して語りかけるから……だから、安心してあなたの人生を歩いて欲しい。大丈夫だよ……大丈夫なんだ』


ーーーーー


眼を開けると私は展示室の外で佇んでいた。陽は西に陰り、夕焼け雲がそろそろと空を覆い始めている。


「あの〜……」


控え目な女性の声に振り向くと、紺色の制服を着た記念館の職員が立っていた。


「あ、はい!」

「あの〜……そろそろ閉館の時間なので……」

「分かりました。すみません。今、退出します」


うろこ雲から差し込む夕陽が、展示室前の小径(こみち)を照らす。私はそれでも、もう一度“あの木戸”を眼に刻(きざ)もうと振り返る。



しかしそこにはーーーー

コンクリートの塀が、綿々と続くばかりなのであった。






【赤信号……終】



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東京ショートストーリー ©著者:七斗

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