1章:よっちゃんの恋 (20/20)

おいら、バカだけど仕事は一生懸命やるよ。

そんでもさ。バカにはバカの意地ってぇもんがあるんだよ。


じゃあ、行ってくるよ。


でへへ……『まさか……』って、ネェちゃん、何を震えてるんだよ。

は、『サロメ』って何？ オスカーワイルド作の小説？ なんだそりゃ、美少女コンテストやってる会社？ あ、似た名前だけど違うのか。
へえ〜初めて知ったよ。今、おいらのやって来たことに似てるんかい？

でもさ、さっき言ったろ？
和香が病気なら、治せんのはおいらだけだってよ。

温泉療法っつうじゃん？


まぁ、何にせよ。


ーーこれから永久に和香は俺のもんだ。


狂うなら、滅びるまで狂ってやろうと思ってな。


……結局、おいらは弱い人間をなんだ。だけど痩せても枯れても人間だんだ。


ネェちゃん、おやすみなさい。

安らかに眠るんだぞ。

おいらもそのつもりだ。


マスター、じゃあな。本当に。


じゃあな。

今まで……本当にありがとうな。






【よっちゃんの恋……終】