1章:よっちゃんの恋 (19/20)

え〜と。

ああ、今日午前中にな、和香を説得にな。行徳に行って来たばっかなんだよ…………。


お〜い、マスター、頼むわ。
預かってもらう道具、うん、玄関の油が入ってる、この積み上げたドラム缶の上に置いとくからな〜。

ペンチだろ、折り畳みのノコギリだろ、ミニハンマーも入ってらぁ。重いはずだよね。


『きゃあっ！』って、おいおいネェちゃん、突拍子も無い黄色い声出すなよ。
バッグの中に長い髪の毛が見えたってか？

こりゃあタワシだよ。タワシ。
ペンキをさ、塗り上げだ後に毛足の長いタワシで洗い出しをすんだよ。それだよ。


これからなぁ……和香と部屋の露天風呂に一緒に入るんだよ。

おいらが彼女の首をな、こう……抱いて入って……和香も温泉にぷかぷか浮いて、きっと喜んでくれるはずだよ。

『血が……』って。変なこと言うなよな。

仕事してりゃあ、手を切るときだってあらぁさ。
ネェちゃんみたく、なんつうの？
椅子に座ってパソコンいじってる仕事じゃねぇんだからさぁ。