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3章:3



私は思い立ってゆりちゃんに連絡をした。

お礼も言っていなかったし。



「もしもし?」

『碧ちゃーん!昨日はありがとう。』

「こちらこそ!なんで先に帰っちゃったの??」

『だって、一緒に出たらお金払わせてくれなかったでしょ?』

「確かに。でも本当にいいの?」

『いいのいいの!慰謝料なんて持っててもどうしようもないし、パーっと使っちゃいたかったから。』

「…じゃあお言葉に甘えて。今度ご飯でもご馳走させてね。」

『うん。高いの考えとくね。』

「赤提灯じゃないんだ?笑」

『そりゃあね。笑』

「ねぇ、ゆりちゃん。私今日変な人に会ったの。」



ゆりちゃんに事の顛末を話すと、楽しげに笑いながら

『そんな出会い方があるわけね。やっぱり私先に帰っててよかったじゃない。』

と言った。

『ホストって私はあんまりよくわからないけど。行く時は付き合うよ。ほら、彼氏もいないし。』

とも言ってくれた。

行くつもりなんてさらさらない。
とは言えなかった。

でも、思い立ってすぐ
会ったその日に職場に会いに行くなんて、彼の計算通りみたいで腹がたつ。

私が会いに行くであろうことを想定して

『またね。』

と言っていたのかもしれない。





その気持ちを素直にゆりちゃんに伝えると


『そう考えて、腹が立っているなら尚更、彼の計算通りかもね。』


と笑った。


私もその通りだ。と、笑った。

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戀の糸 ©著者:elephant

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