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12章:†夢幻想†
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段々頭がハッキリしてきた。
気づいたのは、今居る場所が、ちゃんとしたアスファルトでは無く、ダートと言う事。
しかも、お世辞にも【道】とは呼べ無い様なとんでもない場所。
翔は、何も聞いて来ない。
普段ならきっとキレてる筈なのに、キレる事もしない。
Zは、一定の車間距離を取って、後ろを着いて来てる。
やがて、本線に出た。
すると、Zがパッシングして先行し、あっと言う間に消えてしまった。
翔はスピードを上げず、ゆっくりと下りて行く。
やがて、出口に着いた。
出口、つまり峠の入り口付近には、沢山の人だかりが有り、その中心は周平の様だ。
翔がその近くにミラノを寄せると、そこに集まっていた面々から拍手が沸き起こった。
これって、私を捜してくれてた人達?
凪の姿も蓮の姿も在った。
拓也や純も。
『降りて、みんなに一言言え』
そう翔に言われた。
私が車から降りると、真っ先にやって来たのは蓮だった。
『り〜い!あんた無事だったのね!
何処に行っちゃってたのよ〜!
ホントにホントに心配したわ!
独りで下ろしちゃったし。でもね、まさかあんな霧が発生するなんて思わなかったのよ〜。
それを知ってれば、独りで下ろすなんてしなかったのにぃ〜!』
そう言って私を抱きしめた。
普段はウザい以外の何モノでも無いこの行為、でも、この時は一気に涙が溢れた。
私は、蓮に抱きしめられて、声を上げて泣いていた。
『りぃ、どうしたの?
翔に何か酷い事言われたの?!』
と蓮が言った。
私は泣きながら首を振る。
『りぃ!泣いてる場合じゃねぇ!
みんなに一言謝るんだ!』
と翔が言うと、蓮が、
『泣いてる女の子にそんな言い方って無いでしょ?!
この子、ずっと独りで心細い思いしてたのよ!』
と蓮がキレた。
すると、凪が
『皆さん、すみませんでした。
うちのりぃは夜の峠が初めてで、それなのに、独りで下ろしたのは、全て俺の責任です。
迷惑掛けました!』
と言って腰を折って頭を下げた。
すると周囲からまた拍手が起こった。
『無事で良かったじゃん!』
『流矢じゃね?』
そんな声も聞こえた。
『そうかもな』
と納得する声も。
『皆さんすみませんでした』
と私も頭を下げる。
また、温かい拍手が沸き起こった。
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