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10章:†嫌みな奴と懐かしい顔†
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あざみ野峠で体験した、流矢とのセッションは、私の感性にかなりの影響を及ぼした。
それまで、私はあの世の皆様に対して、怖いか、気の毒か、その二つしかなかった。
勿論、自分が日頃から世話になってる、守護霊様を筆頭に背後霊の皆様に対しては、身近な感覚でいたのだが、でも、その他の皆様については、怖いか、お気の毒な方、としか考えて無かった。
ただ、よく言われる通り、お気の毒と考えてしまうのは、その霊に対しては申し訳ないが、危険。
だから、とにかく無視。
私は僧侶でも巫女でもない。責任が持てない。
私には霊感が無い、だから解らない、とされる方が憑かれないのは、霊が居たとしても全く無視の状態だから。
でも、私の場合は生憎そう言う訳にもいかないので、お会いしてしまっても無視を決め込むしかない。
でも、流矢に話し掛けられたその時に、初めて、もう一つの選択肢を得た。
【対話】
ただ、避けるだけでは無く、対話する。
これはそれからの私を大きく変えてくれた。
追悼バトル迄、あと
10日となった。
結局、雑誌の取材は来るらしく、私は体調不良でも理由にして、何とか走らずに済む方向で考えていた。
観たいのは観たい。ギャラリーでは居たい。
でも、チーム流矢の看板を背負うのは勘弁して欲しかった。
まだ、女子の走り屋自体珍しい時代。
確かに居ても、その殆どは、元気の良いお姐様方。つまり暴走族。
でも、我々は違う。
その意識はみんな持っていた。
警察に逆らう事なんて考え無い。
峠以外で無謀な運転はしない。
無駄な整備やパーツ付けもしない。
そう、あくまでも走り屋。
見掛けやはったりなんてどうでも良い。
みんなそんな意識だった。
だから、暴走族とかヤンキーだとかって言われるのは非常に迷惑だった。
派手に髪を染めたり、派手な服に身を包んでる事も無かった。
それだからこそ、私も抵抗無く、仲間になれたのかも知れない。
翔は、毎日油にまみれて車の整備工として働き、凪は週2回早朝の築地に行き、蓮は今でも勉強を続けながら、美容師だけの枠組みから脱しようとしてる。
勿論、この3人だけでは無く、他の人達も。
私は走る以外の事に於いても、本当に良い刺激を受ける事ができた。
まだ、社会の右も左も分からなかったこの頃、私は仲間から、様々な事を学んだ。
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