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8章:†恐怖の矛先†
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しかし、困った。
この状況、謝れば余計事態は悪化する。
とにかく彼女はプライドが傷ついたらしい。
挙げ句、柏木迄
『君ね、嘘って良くなくない?走り屋なら、正々堂々と勝負するべきだと思うよ、
本当は結構走ってるんでしょ、この峠。
じゃなきゃ、あんな抜き方出来ないよね?
それ迄全然着いて来られてなかったのに』
これには翔がキレた。
幾ら今喧嘩してたとしても、やっぱり仲間は仲間だった。
『お言葉ですが、コイツ、マジで今日初めてですから。
ただ、コイツ女の癖に怖がらないだけです』
と言うと蓮も
『この子ね、峠馴れしちゃってるのよ。
自宅の裏に、結構な峠が在って、そこで運転習って来た様なものだから、だから心臓が毛むくじゃらなのよね』
と言った。
私の心臓は毛むくじゃららしい。
『何故堂々とInを刺さなかった?』
この♂、粘着質なのか?
『刺したかったけど、無理だったんです!』
と言った。
それをどう捉えたのか
『そっか、無理だったのか』
と柏木は納得した。
冗談じゃない。あんな運転されてたんじゃ、危なくてヤタラに近づけない!
しかし、私は自分で何時、どうやって抜いたのか、全く記憶に無かった。
それ処じゃなかったのだ。
本当に怖かった。
『俺達、ちょっと給油してきます』
と凪が言った。
『あら?アタシはさっき……』
と蓮が言うと凪が、
『お前のエアー、甘くなり過ぎてるぞ、一度スタンドに行った方が良い』
と言った。
『あら?そんな事無いと思うけど』
と、蓮がシルビアに目をやると
『いいから一緒に付き合え』
と翔が言った。
私達は、そのまま町に出て、取り敢えずスタンドに行った。時計を見ると、もう午後になっていた。
翔を先頭に、何時もの車列でスタンドを出ると、翔は峠には向かわずに、更に市街地の方へ向かった。
元々、単独だった小さな町は、周辺の町や村と合併し、今はもう大きな町となっていて、国道沿いには大手のスーパーやコンビニ、ファミレスが建ち並んで居た。
その一角の、地元にも在るファミレスの駐車場に、翔は車を入れた。
Weekday、国道沿いと言う事も在って、何処かの会社の営業車が結構停まってた。
翔は、入り口の傍に車を停めたので、私もその隣に停めた。
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