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7章:†バケットと強化サス† (10/10)

シルビアは、インターの入り口付近でハザードを点けて停まってた。

翔がその後ろに停車させたので、私も凪もその後ろに停めた。

翔が、車から降りると、シルビアに近づく。後ろの凪も降りたので、私も降りた。

『お前、こんな平地でバトってどうするよ!』

とにかく、シルビアの音が煩くて、大声を出さないと会話にならない。

『だって頭に来ちゃう!いきなりパッシングして来るんですもの』

と蓮はご立腹。

『お前、そうじゃなくてもこの音なんだし、ヤバいよ!』

と凪も言った。

『あの人達、りぃを女だと思って馬鹿にしたのよきっと!』

と蓮が熱くなってる。

女だと馬鹿にされる。まだまだ時代はそんなもの。

『で、どうなったんだ?』

と翔が聞くと

『勿論、アタシ勝ったわよ!あんな型落ちのクラウンになんて負けないわ』

『ま、このシルビア、普通のシルビアじゃねーしな』

と翔が言う。

何がどうなって、普通じゃなくなったのかは知らないが、翔が何かをしてるのは明らかだ。

『ね、CR-Xも何かしてるの?』

と凪に聞くと

『いや、りぃと同じ事してるだけだ』

と言う。

だとしたら、あの速さの違いはなんだ?

『バケットと強化サスだけでも全然変わる。

多分、今日行けば解ると思う』

と凪に言われたが、そんなものなのか?

確かに、あれから裏山を流してて、楽になってるのは感じる。

『こんな所に何時迄も居ても仕方ない、行くぞ』

と翔が言い、みんなそれぞれに車に戻った。

高速に乗る。片側3車線。3台の車はじゃれあう様に遊んでる。私はそれを視界から外さない程度に距離を開けて、後ろから眺めてた。

やがて、それに飽きたのか、また元の車列になり、インターを下りた。

太陽が昇って来た。天気は良好。

途中、コンビニで朝食をゲット。私は珈琲とサンドイッチ。ついでにサラダも。

やがて、食事が済むと、一路あざみ野峠を目指した。

ゴチャゴチャとした、田舎の町並み。古い民家が建ち並ぶ中を通り抜ける。

まだ、朝の7時にもなって無かったが、もう、洗濯物が綺麗に干されてた。

やがて、何時の間にか気づくとあざみ野峠に入ってた。

翔は、そのまま走り続ける。飛ばす事も何もせずに、ほぼ一定の速度を保ちながら、流す様に走った。

キツイ勾配は無かったが、何とも不思議な感覚だった。
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Skyline ©著者:Jude(ユダ)

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