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6章:†蛙の子†
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蓮は相変わらず良く寝てる。
『蓮、起きろ、帰るぞ』
と凪が声を掛ける。
〔いやん、まだ帰らないわ〕
と言った。
つか、寝ぼけていても口調は変わらない。段々本当に♀に思えてきた。
『蓮行くぞ』
と翔も言う。
〔煩いわねぇ……〕
『起きろ!』
翔に強く言われ、やっとカウンターから顔を上げる。
『何なのよ』
しかし解って無いらしい。
『とにかく帰る!』
と翔に言われ、やっと体を起こした。
『あら?アタシ寝てたのかしら?』
と周囲を見回す。
『ほら、行くぞ』
と、翔に促されてやっと立ち上がった。
『大丈夫かい?』
と、凪の父親に言われ、代わりに翔が
『大丈夫です、すいません』
と言うと、私達はお礼を言って店を出た。
CR-Xはもう既に店の前に在った。やはり、凪は運転席がしっくり来る。
後ろに翔と蓮が乗り込み、私は助手席に乗った。
星が綺麗だった。
しかし、三日月は相変わらず三つ。
運転する時には眼鏡を掛けるが、普段は裸眼のまま。
『まず、りぃからだな』
と凪が言った。
『ごめんね、疲れてるのに』
と言うと
『気にするなよ』
と言いながら、293号線を北に向かう。
以前ミュウのバイト先だったコンビニは、最近やっと24H営業になった。
家に着く。
狭いスペースに3台の車が在る。
もう家族は寝てる。
『後でちゃんとお会計してね』
と告げると、私は車から降りた。
『じゃ、また』
と言ってドアを閉める。
CR-X を見送って家に入ると、ちょうど妹が浴室から出て来た。
『お姉臭い』
と言ってから
『ご飯食べるなら、カレー有るよ』
と言って2階に上がって行った。
その晩爆睡。
翌朝、シャワーを浴びる。
妹は、もう登校し、両親も出掛けた後だった。
必然的に家事は私の担当となる。
取り敢えず洗濯機を回して、軽く食事をした。
ボーッとテレビを観てると、交通事故のリポートをやっていた。
スピードオーバー。
規制は厳しくなって来ていたが、結局変わらない。大破した車。運転手は亡くなっていた。
箱根のトンネルの出口での事故。
トンネルの出口は本当に怖い。
運転手の姿が画面に映り込む。
勿論あちらの世界の方だが、亡くなった事をまだ、理解してなかった。
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