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5章:†峠の恐怖†
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それから一週間が過ぎた。
私も、そして他の3人も、偶然にも休日が火曜日だった。
日曜日は、社会人のにわかロッカー達が、作曲の勉強に来る。
私もバンドの経験があったので、どうしても話が盛り上がり、午前中に来ても、お昼を挟んで更に続ける事も少なく無かった。
そして、バブルの影響からか、最近は趣味としてピアノを嗜みたいとする奥様方やサラリーマンが午後になるとやって来た。
月曜日と木曜日は出張教室。
本当は自宅だけにしたかったのだが、浮世の義理。父の知り合いの家に生徒が集まる。
そして、週一の貴重な休みが火曜日だった。
火曜日、まだ外が暗い内に、駅のロータリーで待ち合わせた。また、日光に行くつもりだった。
翔はあちこちに行くよりも、まず一つの峠で自分の走りを掴んだ方が良い、と言った。
勿論、私は元々運動音痴だし反応も鈍いのだが、それでも翔も凪も、そして蓮も、私が怖がらない事に興味を持ったらしい。
確かに、前回の時も全く怖がらなかったお陰で、ダウンヒルの方が俄然タイムが速かった。
だが、対向車が来ないのだから、怖がる必要も無い。
『おはよう、お待たせ』
翔と凪が、車から降りて一服してた。
『ヨオ! おはよう。この前お袋さん大丈夫だったか?』
と凪が近づいて来た。
『あの状態じゃ、完全にナンパだよな』
と翔が笑った。
いえいえ、発端はナンパじゃないですか。
そこに、シルビア到着。
車から降りて来たので、私も降りた。
『あら〜みんな早いのネ。待たせちゃってごめんなさい』
蓮は今日も結構お洒落。出逢った日もそうだった。ジーンズは黒。上はブランドの黒いロゴ入りの赤いTシャツ。
ブレスレットとチェーンベルト。
バブルならではのファッション。
私は車に乗る時は絶対にスカート。ジーンズは足を締め付けるから。
翔達と出逢った前回もそうだった。だから、蓮にあんな事を言われた。
そして今も
『やっぱりどう見ても、峠攻めをする雰囲気じゃないわね』
と言われた。
『さて、じゃ出発するか』
と翔が言い、それぞれの車に乗り込んだ。
どう言うルートで行くのか聞いて無かったが、まぁ、着いて行けば良いだけ。
4台の車は、午前4時半に駅のロータリーを出発した。
取り敢えずは国道を目指すらしい。やはり群馬から入る様だった。
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