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3章:†出逢い†
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翌日から、私はとにかく車を乗り回した。
これは持論に過ぎないのだが
慣らし運転はできるだけ長く纏めて運転した方が良いのでは?
と思った。
一度エンジンを切ってしまうと、少しだけ状態が後戻りしてしまう様に感じて、最低でも200㎞は走る事にした。
そして、思い付いた。
首都高に行こう!
峠はまだまだ無理。と言ってこの辺の田舎道では、昨日の様な事にもなりかねない。
でも、首都高ならば迷って途中で下りたとしても、あんな目に合わなくて済む。
田舎は懲り懲りだ。
タイヤはもう大丈夫。後は回転数にだけ気をつけて走れば良い。
と言う事で、仕事が終わり、食事を済ませると、私は夜の首都高を目指した。
国道50号で佐野に向かい、そこから東北自動車道で東京方面へ。
実はこの時迄、私には高速道路を走った経験が無かった。
足利にインターが無かった事もあり、高速教習を受けて無かったし、家族で何処かに行く時にも、途中で運転を交代させられるものの、高速はいつも父か母だった。
理由は単純。
お前の運転はまだ未熟だから。
しかし、私はいつも思ってた。
市街地よりも、高速道路の方が、全然楽じゃないか?って。
少なくとも、自転車や歩行者を気にしなくて済むし、出会い頭の事故も無い。
確かに、速度が出てるのだから、事故となれば大変な事になるが、でも、運転にだけ集中できる。
そうずっと思ってた。
でも、父は言った。
せっかく車を買ったんだから、乗り回すのは構わないが、お前はまだまだ未熟だから、高速道路は絶対にダメだ。
しかし、未熟と言われても、トロトロと走り、渋滞の先頭になる母や、急ブレーキを掛けて迄黄色信号で止まる父より、余程マシだと自負してた。
『あんまり遠くに行かないで、その辺にしておきなさいよ』
玄関で靴を履いてると、母がキッチンから顔を出す。
『うん、わかってる』
と言うと更に
『あ、絶対高速道路は載らないでね』
と言った。
すると父迄顔を出し
『また、出掛けるのか?』
と聞くので
『慣らし運転』
と言うと
『お前は運転技術が未熟なんだから、高速だけはいかんぞ』
と言った。
ふと思う。
私の技術を未熟だなんだと言いながら、都内を運転させて、寝飛ばせるこの二人って、一体何なんだろう。
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