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2章:†迷子のメカニズム†
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真っ暗な右側をじっと見てると、少し高い位置に、赤いランプが遠くの方からこちらに真っすぐ近づいて来る。
そして、その高い位置から、救急車のヘッドライトが私とミラノをハッキリと照らして減速すると、そのまま右折、私から見て前方へ走って行った。
つまりすぐ近くに道が在った。
私はエンジンを掛けると、ライトをハイビームにし、何とか右手のその道に出られないか、と車をゆっくり移動させた。
すると間もなく、私の居る道は右側に曲がり、難無くその道路に出る事ができた。
なんだ、出られたじゃん!
しかし、出たのは良いが、どっちに行く???
本当に真っ暗で何も無い。
が、左側を見ると、オレンジ色の明かりが遥か遠くに見える。
もしかしたら、国道かも知れない。
そう思い、その明かりを目指した。道は殆ど真っすぐだった。そして周囲は見事に何も無かった。
とにかく国道にさえ出てしまえば。
考えるのはそれだけだった。
しかし、行けども行けども、その国道にはぶつからない。それ処か、何時の間にか目標としていたオレンジの明かりも消えていた。
だが、周囲は何時の間にか、民家が立ち並ぶ様になっていた。勿論、どの家も寝静まって真っ暗だったのだが、たった一軒だけ、人が集まり、明かりが煌々と点いた家が在った。
こんな夜中に何だろう。
と、右手前方のその家に気を取られてると、ちょうどその家の在る辺りの道路の真ん中に、ヘッドライトが人影を浮かび上がらせた。
急ブレーキには至らなかったが、慌ててブレーキを掛けた。
白い着物???
しかも手を後ろに回し、腰を曲げて。そして、その老婆はその家に向かい、やがて家の庭先に入って行った。
その家の前を通ると門柱には、通夜を示す白い大きな提灯が在った。
あのお婆さんが、天に召されるのだ。
瞬間にそう思った。
きっとさっき迷子になっていた時に見掛けたあのお婆さんは、この世の挨拶周りの途中だったのかも知れない。
そう思うと何故か、素通り出来なくて、私はその家の手前で路肩に車を寄せると、車内からその家に向かって、目を閉じて手を合わせた。
暫くそうしてると、誰かが窓をノックする。
ドキッとして目を開けると、運転席の窓を大かな顔が覗き込む。
そして、金歯を見せニヤニヤしながら、私をじっと見る。
さっきのあの男?!
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