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9章:〜リボンのお嬢さん〜
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すっかり忘れてた!父はもう夢の中だが、母しっかり起きていた。が、しかし
『お帰り、今日ご飯済ませて来たんでしょ?』
何故知ってる?
『うん、食べて来ちゃった』
と恐る恐る言うと
『りかから聞いてたから特に用意してないけど、カレーだから食べるなら温めてお上がりなさいね、じゃ、先に休むね』
母も時々ビールを飲む。キッチンのテーブルには、ビール瓶とグラスが置かれてた。
『高校の時のお友達と一緒だったんですって?』
???
『りかがそう言ってたから。久々だったんでしょ?みんな元気だった?』
『う…ん元気だった……』
ほろ酔い加減の母の顔が、段々伊藤博文に見えてきた。
『ん?なによ、どうかしたの?私先に休むよ、あんたも早めに休みなさいね』
そう言うと、テーブルの上のビール瓶とグラスを片付け、母は奥の寝室に行った。私は冷蔵庫から麦茶を出し、コップに注ぐと、それを持って2階の自室へ。隣の部屋は、明かりも消えていて、妹はもう眠ってる様だ。
部屋のドアを開け、照明のスイッチを入れる。部屋が一気に明るくなる。何故か部屋のカーテンがきちんと閉まってた。
ふと机に目をやると、何か紙が置いてある。良く見れば、それは妹からの書き置きだった。
《お姉、お帰り!どうせ遅くなると思ったし、電話入れられそうも無いと思ったから、パパとママには適当に言っといたよ。
んでさ、今日サンリオショップ行ったらね、キティーちゃんが一人ぼっちで泣いてたの。だから明日迎えに来るねって約束して来ちゃった!》
ふざけんな!¥¥¥¥¥
何がキティーちゃんだ!こうなると恐喝だ!
全く以って怪しからん!
余程隣の部屋に乗り込もうと思ったが、とにかく時間帯も時間帯だし、親に知れるのは非常にマズイ。
私は煮え繰り返る腹の虫を抑え、取り敢えず部屋着に着替えると、化粧を落とそうとドレッサーの前の椅子に座った。
あまり皮膚が丈夫じゃないので、もう既にヒリヒリしてる。閉じられていた三面鏡を開き、台の上に有るコールドクリームを顔中に塗りたくると、ティッシュを指に巻き付け、化粧を落とし始めた。
とにかく、今日はもうクタクタだった。もう何も考える余力も無かった。ただ、ボーッとしながら、ティッシュで顔を擦っていた。三面鏡も気にせずに。
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