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7章:〜鏡の住人〜
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珈琲が運ばれて来た。神崎と私のカップには、お代わりが注がれる。ミュウとトッシュは砂糖もミルクも入れていたが、キラとザムはブラックのまま飲んだ。
そしてザムが言った。
『学食の珈琲より何倍も旨い!』
当たり前だ。そもそも学食と比べるなんて失礼も甚だしい。
『ネェ、ところで二人で何の話ししてたの?』
ミュウが意味深な笑顔で、神崎と私を見比べる。すると私の代わりに神崎が言った。
『実は、合わせ鏡の話しを』
『え?合わせ鏡?』
ミュウが目を点にしたが、あとの三人も私を疑う様な目で見る。
『りぃ、あんた気は確か?そんな事今聞く話しじゃないでしょ?神崎さんにだって悪いよ、せっかくショーやってたのに』
え?私?
『あ、いえ聞いて貰ったのです、私の話しを』
神崎が焦る。
すると4人は更に驚いた表情で神崎を見る。神崎は何ともバツの悪そうな顔をする。そして、私に助けを求めてる。
私が話して良いのだろうか?
そう迷ってると、神崎が頷いた。つまり私から話して欲しいらしい。
『あのね、神崎さんから、合わせ鏡の中の世界について聞いてたの。ほら、よく言われるじゃない13枚目の合わせ鏡って』
すると、神崎の立場が立場だからか、4人とも興味を引かれたらしい。
『ね、あの話しって本当なんですか?』
ミュウが神崎に喰いついた。
『そう言や前、ちょっと霊感のある奴が居て、そいつも13枚目の話しをしてた。ずっと後ろ姿しか写って無い筈なのに、一カ所だけ違ってたとか言ってたな』
トッシュもどうやら、こう言う話しが好きな様だ。
『あ、俺も何かの雑誌で写真観た事がある。一カ所だけ本人の顔がこっちを向いてたんだ。初めは合成かと思ったんだけど、記事を読んでる内に寒気がした』
キラもこんな事を言い出してる。
『それって目が合うとヤバいって話しじゃね?』
ザムは食べるのも早いが、珈琲をゆっくり飲むと言う事も苦手の様だ。
『はい、確かに目が合うと危険ですね』
神崎のその言葉に、みんな恐怖に息を呑むみながらも、次の言葉を待ち侘びていた。
『でも、私の場合、自分の顔を見ると言うより、そこに出入口を見つけるんです』
『出入り口?』とミュウ。
『鏡の中、行った事あるんですか?!』
トッシュの質問に、みんな真剣な顔で答えを待っていた。
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