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7章:〜鏡の住人〜 (3/10)

『こんな話に興味を持って頂けるなんて思いませんでした』

と神崎が恐縮した様に言う。

『でも、合わせ鏡の話しって有名でしょ?でも出入り口の話しって初めて』

とミュウはもう興奮気味だ。

『鏡の中の世界?何だかアリスみたい!そんな事が本当にあるなんて凄〜い』

この♀、茶化してるのか?

『そう捕らえて頂いても良いんです。寧ろそんなスタンスで聞いて頂いた方が、気楽に話せますから』

私の考えてる事は何故こうもすぐに伝わるんだろう。

『その出入り口って、じゃ、神崎さんが鏡の中に入ってしまうんですか?』

キラも真剣だ。

『いえ、実際にその出入り口をこの肉体がこのまま通過するわけじゃないんです。その出入り口をそこに見つけると、いつも同じ夢を見るんです』

『いつも同じ夢?』

トッシュが呟く。

『俺も同じ夢見る時あるぞ』

とザムが言った。

夢について語り出すとキリが無いが、予知夢、逆夢、が特別な夢の代表。勿論、お正月に見たいおめでたい夢や、云われのある夢も特別な夢と言う事になる。でも、たいていは自分の感情や記憶の集大成で、その構成された夢のインパクトが強いと、またそれを見る事もあるが、神崎の言ってる事は、こうした事とは少し違う様だ。

が、神崎のその話しを、さっき迄、一人で聞いた話しの繰り返し、と無防備に構えていた私は、次の瞬間、再度戦慄を覚える事となった。

『私のその夢は極単純な夢なんですよ。真っ暗な世界に、道化の私に会いに行くのです。出入り口は一人だけしか通れませんから、結局、私は道化の私を閉じ込めているんです』

そっくりじゃないか!
あれは夢では無く、鏡の世界と言う事なのか?確かに私の部屋には三面鏡のドレッサーがあるが、夕べはそのドレッサーを覗いてない。でも、もし覗いていたら、入り口を見つけられたのだろうか?

そこへ、珈琲の強い薫りが漂ってきた。

『すみません、あまりにも興味深くて、つい盗み聞きをしてしまいました』

黄色のスタッフシャツを着た主人が、そう言いながらカップに珈琲を注いで回る。

『鏡の中には別世界があるって、良く云われてますからね』

すると神崎は恐縮気味にカップを差し出し

『え?こんな話しを聞いて頂けてたんですか?』

と照れた様に戸惑う。

『私は信じる方なんです』

と主人が珈琲を注いで回りながら言った。
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鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

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