ホスト,キャバ,風俗等のちょっと大人の無料ケータイ小説!PC,スマホ、ガラケー全対応!

4章:〜闇の道化〜 (2/7)

 家に帰ると、待ち構えて居たかの様に、母に色々と問い詰められた。実は、母にライヴの事は内緒だった。とにかく、母は私が目立つ事をするのを毛嫌いしていたし、そもそも、バイトについてだって良い顔はしない。

お父さんの立場もあるんだから……

耳にタコ、いや、もっと強烈な言葉が欲しい。

父は、教育委員会から委託を受け、発掘調査の指揮等を手掛けながらの考古学者で、TVや雑誌の取材を受ける様な、その筋に於いては、ちょっとした有名人だった。

著名人、と周囲は言うが、私にはどうもその言い方は好きになれない。

だが、実際の所、近所の人達からは【桜木先生のお嬢さん】と呼ばれてたし、何だかいつも、他の家庭との壁を感じながら育ってきた。

確かに、お金には不自由は感じなかったし、外食なんて日常茶飯事。毎週末には両親のお気に入りのステーキハウスに予約をし、タクシーで市外のその店迄食事に行った。

でも、それが当たり前の生活となって居たから、何の感動も無く、寧ろ、町の片隅の、少々汚らしい食堂やラーメン屋に憧れていた位だった。

 私は、シャワーを浴びると、冷たい牛乳を一気に飲み、そのまま部屋に行った。ベッドの横の東の出窓には満天の星空が在り、弓なりの三日月が半分雲に覆われながら、柔らかな光りを放ってる。

ふと、バッグからあの占い師の名刺を取り出した。何も考えずに、ただぼんやりとその名刺を見つめていたのだが、良く気をつけて見ると、その名刺の表面の、名前の下の所に、凹凸がある事に気づいた。

何だろう、そう思い、私はその部分を軽く、鉛筆で擦ってみた。すると、予想通り文字が浮かび上がって来る。

【13枚目の世界から】

その凹凸はそう書いていた。

13枚目の世界?
何の事?

13枚目、確かに不吉な数字と言われているが、何を指して言ってるのか、そもそも13日の金曜日、と言うなら知ってるが、13枚目………

ベッドに横たわりながら、浸すらその意味を考えて居たが、やがて、今日の疲れもあり、何時の間にか、深い眠りに陥っていた。

 私は今、真っ暗な、右も左も、上も下も判らぬ虚無な空間に、ただ、歩を進めてる。不思議な事に、心細さも、恐怖感も、かと行って何かを求める気持ちも何も無く、ただ、機械的に足を運ぶ。やがて、遠くの方に、小さな小さな白い点が見えてきた。
16 /406

※この小説を友だちに教える⇒メール

いいね LINEで送る

鏡からの使者 ©著者:Jude(ユダ)

夜のケータイ小説サイト「ホスラブ小説」
PC,スマホ、ガラケーで全ての機能が利用できます!

Copyright © hostlove.com All Rights Reserved.