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2章:〜暗がりの声〜
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最近、良くやって来る♀。同中の同級生。
麻木深雪はただ今保育士を目指して、私立高校からエスカレーターでの短大生。短大は四大よりも忙しい筈なのだが、何故かこの♀、極最近になってバンドに目覚めた。
保育士を目指す位なので、全くもって何も出来ない、と言う訳でも無く、バイエル程度のピアノは弾ける。でも、彼女はどうしてもギターに憧れたらしい。
バンドブームのご時世、何処の楽器屋の掲示板にも、メンバー募集、の掲示があり、こんな田舎町も、一体どれだけのアマチュアバンドが存在するのやら。
深雪、通称ミュウは、物おじも人見知りも無い。一人っ子の癖に、逞しいと言うか、とにかくマイペース。
掲示板に募集のあった、男子三人組に参戦し、すっかりデビューするつもりで居る。
『ね、書いたのよ、ちゃんとコードも付けた。だからちょっと弾いてみて』
そう言ってピアノの譜面台に、五線譜を並べた。つまり、オリジナルを作ったらしい。
『いくらデビュー(?)でも、やっぱりコピーばかりって言うのもねぇ』
三ヶ月後に控える、地元のイベントのバンド部門に、応募したらしかった。
が、しかし………
私はその譜面を見て絶句。
『ね、これ自分で弾いてみたの?』
そう言うと
『弾けてたら、此処に来ない』
『………………』
とにかく目茶苦茶。キャッチも無ければ、AメロBメロの区切りも無い。サビは何処から始まるやら。
『ね、言っちゃなんだけどさ、これじゃ、どうにもならないよ』
『え〜!せっかく書いたのにぃ』
『だって、先ず良く見てよ!なんで、ここんトコとここんトコだけ三拍子になってんのよ?』
『ん?三拍子?んなワケないよ〜だって、8Beatなんだから〜』
と、こんな調子では、とても演奏するなんて無理。寧ろコラボを重ねて仕上げた方がマシである。
結局書き直し、何とか彼女のイメージに合う様な曲に仕上げてみたが、正直とても聴きたく無い曲が完成した。
やがてミュウが言った。
『そうだ!あんたも一緒にやらない?!』
『私?!』
いきなり何を言い出すのか。
『私忙しいよ、練習にだって、そう参加できないし……』
『りぃならぶっつけで大丈夫!ちょうどキーボード探してたんだ〜だから、りぃを推薦した』
『……………』
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